株主総会について解説

株主総会の招集通知及び委任状の電子化

2020年に発生した新型コロナウィルス感染症の影響で、株主総会や取締役会の手続において電子化が進んできており、私もクライアントからどの範囲まで電子化で対応できるのか、というご質問を数多くいただいております。そこで、今回は、株主総会の招集通知の送付と委任状について、電子化で実施することが可能か、という点について解説したいと思います。
株主総会の招待通知の送付について
株主総会の招集通知に関する条文は、会社法299条の以下の条文となります。

(株主総会の招集の通知)
第二百九十九条 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。

次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。

一 前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合

二 株式会社が取締役会設置会社である場合

取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。

前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

1項において、株主総会の招集通知について、公開会社においては株主総会の日の2週間前までに、非公開会社においては株主総会の日の1週間前までに「通知」を発しなければならないと記載されています。この条文だけを見ると、「通知」を発するとのみ記載されており、その方法については特段の指定がないため、株主総会の招集通知については、いかなる方法であっても良いと考えられます。
もっとも、2項において、書面投票又は電子投票を定めた場合(1号)、又は取締役会設置会社の場合(2号)については、「書面」で通知しなければならないと定められています。
このことから、下記の表のとおり、「非公開会社で、かつ、書面投票又は電子投票を定めない場合」については、「書面」で通知を行う必要がなく、招集通知を電子化することができることとなります。
書面投票又は電子投票を定める書面投票又は電子投票を定める
公開会社①原則として書面で通知②原則として書面で通知
非公開会社③原則として書面で通知④通知方法に制限なし
また、3項では、「政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる」と規定されており、当該政令にあたる会社法施行令2条1項2号では、以下のとおり定められています。

第二条 次に掲げる規定により電磁的方法により通知を発しようとする者(次項において「通知発出者」という。)は、法務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該通知の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。

一 ...

二 法第二百九十九条第三項(法第三百二十五条において準用する場合を含む。)

三 ...

四 ...

2 (条文省略)

そのため、招集通知を発する前に、予め株主から書面又は電磁的方法によって承諾を得ておくことで、上記表の①~③の場合も、書面ではなく電磁的方法により通知を発することが可能となります。


以上のとおり、株主総会の招集通知については、④非公開会社の場合で書面投票又は電子投票を定めないときは電子化することが可能であり、また、それ以外の①~③の場合であっても個別に株主から承諾を得ることによって電子化することが可能となります。
なお、令和元年12月4日に成立した会社法の一部を改正する法律において、株主総会資料の電子提供制度が創設されました。これは株主総会参考資料や議決権行使書面等を、株主の個別の承諾を得ることなく、ウェブサイトに掲載する方法で提供することができる制度ですが、招集通知の提供方法については特段変更されていないため注意が必要です。
株主総会の委任状の電子化について
株主は代理人によってその議決権を行使することができますが、代理権を証明する書面については原則として書面で会社に提出する必要があります(会社法310条1項)。
もっとも、株主又はその代理人は、政令で定めるところにより株式会社の承諾を得た場合、代理権を証明する書面の提出に代えて、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することが可能とされています(会社法310条3項、会社法施行令1条1項6号)。
そのため、株主総会の委任状の提出方法は、会社が認めている場合、電子化が可能とされています。
まとめ
以上のとおり、株主総会の招集通知の送付、委任状の回収については、いずれも一定の手続を実施すれば電子化することが可能ですので、みなさんも是非この記事を参考にしていただきながら手続の電子化を進めていただければと思います。
Onagi Shuntaro

寄稿者

代表弁護士: 小名木 俊太郎

[弁護士法人GVA法律事務所]

2008年慶応義塾大学法学部卒、明治大学法科大学院を経て、2011年、最高裁判所にて司法研修。八重洲総合法律事務所入所後、東証一部上場企業法務部へ出向。2016年GVA法律事務所に入所し、2018年より現職。2016年からand factory株式会社の社外監査役を務める。企業法務においては幅広いサービスを提供中。信託型ストックオプション、FinTech、EC、M&A・企業買収、IPO支援、人事労務、IT法務、上場企業法務、その他クライアントに応じた法務戦略の構築に従事する。セミナーの講師、執筆実績も多数。